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宮里優作と杉澤キャディのシンプルなメンタルゲーム

宮里優作は勝負を決める日曜の朝、キャディとひとつ約束をしていた。「とにかくボールを曲げて遊ぶ。右からも、左からも、ボールを操りながらやろう」。今季初勝利を飾った「ダンロップフェニックストーナメント」(宮崎・フェニックスCC)。シーズン最終盤で挙げたツアー通算3勝目は、2人のメンタルゲームへの取り組みが勝因のひとつになった。

学生時代から屈指のショット力を誇りながら、決勝ラウンドでの失速が目立っていた。初勝利がプロ11年目の2013年まで遅れたのは、要所での勝負強さに欠けていたことが要因ともされる。リーダーボードをまったく見ずにプレーしたり、コースに吹く“風の色”を頭の中に描いたり…。ゲーム中の精神状態を改善するため、試行錯誤を重ねてきた。

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だが、最近の心の持ちようはよりシンプルになった、と宮里は言う。「いまは置かれている状況を把握して、優勝が近いところにいれば『抜きに行く』ことを考える」。この日も各選手の順位を確認しながらプレーした。「自分らしさをどんどん出す。遊び感覚でやるのが僕には合っているのかもしれない」

「15番ではラフからスライス気味に打ったり、16番のセカンドもカットしたい(フェード気味に打ちたい)ところだけど、スピンでボールが戻ってこないように、あえて低いドローにしたり…。自分の中のものを抑えずに、パッと出てきたものを優先する」と、その場で沸いた感情を解放して本来の持ち味を発揮した。

そのシンプルなメンタルゲームを支えるのが、この3勝を見届けた相棒だ。近年はテレビ中継の解説者としても活躍している杉澤伸章キャディは昨年、メンタルトレーナーの資格を取得した。この日は4番(パー5)で林に打ち込むなど、序盤に訪れた多くのトラブルを乗り越えて勝ったことに「キレイではないゴルフで勝つことができたのは大きい」と胸を張った。

2人のコース上での会話は、単純明快。杉澤キャディに言わせれば、状態の良いときこそ宮里への言葉は少なくなる。「僕は数字を言って、事実だけを伝える。感情を入れずに“リアル”だけを伝える。奥はダメ、右はダメ、といった制限はしない。残りは何ヤード(ピン位置は)右5ヤード、奥5ヤードといった具合にシンプルに」

「選手自身がアレンジの仕方を間違っているときには指摘をしても、基本的には選手のフィーリングに任せる。優勝争いをしているから『さあ行こう!』と言うこともないし『ここは我慢だ!』と言うこともない。彼自身が淡々とやっているわけだから」

「事実はひとつしかない。例えば、自分のメンタルが弱っているときには、ある色が普段よりも “くすんで見える”ことがあるかもしれない。相手が普段と同じように挨拶をしてきても、自分の気持ちが違えば、気分悪く思うときもあるかもしれない」。同じ言葉をかけても、その時々の精神状態で受け止め方は違う。だからこそ、技術面に不安がないときは、宮里が持つ本能を優先させる。

「“うまい選手”はいる。彼は“強い選手”にならなくてはいけない」。二人三脚で長いトンネルを抜けたコンビの会話は、そこに近づくに連れて減っていくはずだ。(宮崎県宮崎市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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