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2012年 ザ・ロイヤルトロフィ
期間:12/14〜12/16 場所:エンパイアホテル&CC(ブルネイ)

欠場者発生時のルールと、その“犠牲者”

ブルネイのエンパイアホテル&CCで開催された「ザ・ロイヤルトロフィ」。僅差で迎えた最終日のスタートを前に、珍しい“ルール裁定”があった。シングルスマッチプレー8試合が行われる予定だったこの日の朝、ホセ・マリア・オラサバル(スペイン)が首痛を訴え、スタート前に急きょ欠場を発表。第1組でオラサバルと対戦予定だったベ・サンムン(韓国)が続く第2組に回ってニコラス・コルサート(ベルギー)と激突したため、そのコルサートとマッチプレーに臨むはずだったキラデク・アフィバーンラト(タイ)が代わりに欠場することになった。

大会では欠場者が出た場合、その対戦相手が“不戦勝”とならないのがルール。相手選手が離脱したケースに備え、両キャプテンは予め自チームから欠場させるメンバーを決めている。封筒にその“はじかれる”選手の名前を書いておき、前日夜の組み合わせ抽選の際に交換するのが決まり。2日目終了後、アジアチームの尾崎直道キャプテンはアフィバーンラトの名前を記入していたというわけだ。

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結局1試合がなくなり、全7マッチが始まる直前、両チームのキャプテンはそれぞれ苦しい胸の内を明かした。以前から同様の箇所の痛みに悩まされるオラサバルは「練習場でサンドウェッジを打っていたときは問題なかったが、7番アイアンに移ったときに首に痛みが走ったんだ。3番アイアン、ドライバーにいったときにはもう続けられないと思った」とコメント。「本当に残念だ。ジョー(尾崎)とベ・サンムン、キラデクには謝っても謝りきれない」と視線を落とす。そして尾崎も「今回で5回目のキャプテンを務めたけれど、外すメンバーの名前を書くとき、これが“意味を成さないこと”をいつも願っている。キラデクには申し訳ない。この選択はキャプテンの仕事として最もつらい」。

さらに、この“不成立”となってしまったマッチは、欠場者を出したチームが負け(0ポイント)、対戦相手に勝ち点1が付くのではなく、引き分け扱いとなり互いに0.5ポイントが入る。これは2年に1度の欧州と米国の対抗戦「ライダーカップ」に倣ったものだ。オラサバルは「これがもし普通のストロークプレーであれば、一人で痛みとつきあいながらプレーした。80叩いても、僕が痛いだけだからね。でも今回はチームの一員で、さらに言えばキャプテンとしての責任があった」と言う。「自分のプライドを優先したら、投げ出すことは考えられなかった」。恥を捨てて、チームの勝利を優先した結果の選択だった。

しかし両者が苦渋の決断を下した一方で、アフィバーンラトは気丈だった。「もちろんプレーできないのは残念。でもキャプテンの決断だからね。システムのことはみんな分かっているし、僕はチームのルーキーだから無理もない。(2日目の)フォアボールで良いプレーが出来なかったから、自分の名前が呼ばれても驚かなかった」と話した。「2日間しかプレーできなかったけれど、今回の出場できっと良い選手になれるはず。ゴルフは誰しも、残念なことに耐えなければいけないときがある。そういう時に、どう反応するかが重要だと思う」。

「今日はチームメートを応援するよ!」。そう話しながら、巨体を揺らしてコースを巡回するカートに乗り込んだ23歳。アジア選抜が逆転で手にした3年ぶりのタイトル。もちろんそのチームの一員として歓喜の輪の中にいた。(ブルネイ・バンダルスリブガワン/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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