国内男子ツアー

プロゴルファーの心拍数可視化 石川遼の分析と期待

2019/07/11 21:00
ダブルス戦に出場した石川遼

◇ツアー外競技◇ひかりTV 4K・FUNAI ダブルスゴルフ選手権(10日)◇平川カントリークラブ(千葉県)◇6892yd(パー72)

国内男子のトッププレーヤーがダブルスで対戦した異色の大会。その模様はNTTぷららが運営する「ひかり TV 4Kチャンネル」で、ゴルフでは初の高画質4Kで生中継された。さらに、運営サイドによって投入された中継技術のひとつがプレー中の選手の心拍数が分かる「非接触バイタルセンシング、表情解析システム」だ。

カメラで顔色の変化をとらえ, そこから脈拍を推定するという技術。「新しいゴルフ中継の楽しみ方を提供したい」という主旨で、特定のホールでは、テレビ画面の左下に選手の心拍数が表示された。

新たな試みについて感想を求められた石川遼は「ゴルフはメンタルゲーム。ほかのスポーツは心拍数が基本的に上がるものだと思っている。その点、ゴルフは歩いてやるし、心拍数が上がるような有酸素運動でもないので、(メンタル面が)ダイレクトに心拍数に表れる」と話した。

例えばサッカーは1試合あたりの走行距離が10㎞以上。有酸素運動と無酸素運動の繰り返しで、心拍数をコントロールすることも必要とされる。だが、ゴルフでは「違う角度からの見方になるのでは」と石川は言い、「こういう緊張状態だと、こういうミスが出るなとか、自分のくせを見極めることができるかもしれない」と、心拍数を把握する効用をとらえる。

「息が上がるようなことをやってるわけではなくても、心拍数が上がって呼吸が浅くなることもある。そういうの(心拍数)を人に見られるというのは(緊張状態が知られて)選手として結構恥ずかしいなというのはあると思うんですけど、でもプロゴルファーだって普通の人間なんで、めっちゃ緊張するし、めっちゃ心拍数も上がる」

インパクト時には選手の心拍数がやや下がる傾向も見られたが、石川は「一瞬、無酸素運動になるんじゃないか。息を止めているかもしれないので、それも影響しているかもしれない」と分析する。

選手の緊張状態がテレビから伝わった今回の試みだが、石川のこの一言をアマチュアゴルファーに捧げよう。「さらっと打ってるように見えるのは、練習してるからボールに当たるのであって、全然緊張してないからボールに当たってるわけじゃない。緊張してても手が震えても、空振りしないでボールに当たるぐらい練習してきてるから」(編集部・清野邦彦)

■ 清野邦彦(せいのくにひこ) プロフィール

1964年、山形生まれ。夕刊紙、スポーツ紙記者を経てGDO。80年代「おやじギャル」ブームをつくった女性漫画家を取材して初めてゴルフにかかわる。その場で買ったゴルフチームジャンパーがお宝。ドーハやカーヌスティで90年代のスポーツの「悲劇」に遭遇した。