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北朝鮮でゴルフをした男の証言 金正日氏「34」!?のコースでプレー

2017/07/06 11:30

綺麗な制服に身を包んだ平壌ゴルフ場のキャディたち。仕事も熱心だったという(マキネン氏提供)

北朝鮮を取り巻く緊張が日々高まる中、先日訪れたヘルシンキで1人の熱心なフィンランド人ゴルファーと知り合った。世界各国でプレーすることを趣味とする彼は、昨年9月、ちょうど1000コース目(165カ国目)となる節目を、どこか特別な場所で達成しようと考えて、我々にとっては近くて最も遠い国――北朝鮮を訪れたという。

かつて「金正日(キム・ジョンイル)総書記がゴルフでとてつもないスコアを出した」というニュースが世間を駆け巡ったことがある。そのニュースを耳にしたとき、北朝鮮のゴルフ場はグリーンがすり鉢状になっていて、グリーンに乗ればどの球もカップに吸い込まれていく…という想像をしたものだが、果たして実際はどうなのだろう?

ニュースの元ネタは1994年10月にオーストラリア人ジャーナリストのエリック・エリス氏が、オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(AFR)とインターナショナル・ヘラルド・トリビューン(現在はThe International New York Times)に寄稿した記事

綺麗に整えられたグリーン。手前に写っているのがマキネン氏(マキネン氏提供)


ゴルフ場開発者として北朝鮮に入国したエリス氏は、平壌ゴルフ場でパク・ヨンマンという同国唯一のプロゴルファーに出会う。エリス氏が「(同年9月に亡くなったばかりの)金日成(キム・イルソン)氏をコースで見たことがあるか?」と尋ねると、彼は「ない」と首を振ったが、新しく最高指導者となった“Dear Leader”こと金正日氏には会ったことがあるという。

そして、パク氏はコースを1ホールずつ紹介しながら”Dear Leader”がどんなプレーをしたかを語っていった。1番(パー4)のイーグルに始まって、バーディより悪いスコアはなく、5つのホールインワンを含む38アンダー「34」という驚異的なものだった――。その後、この話には尾ひれが付いて、ホールインワンは11回とか、これが最初で最後のラウンドだったとか、ボディガードが17人いた…という風に広まっていった。

さて、先のフィンランド人、エサ・マキネン氏が同じ平壌ゴルフ場でプレーをしたのは、2016年9月8日のこと。中国・北京で北朝鮮のビザを取得して総勢12人で入国(※)し、そのうち6人(男性4人、女性2人)でゴルフプレーを楽しんだ。

クラブハウス内のバーではアルコールも提供している(マキネン氏提供)

平壌市内のホテルから車で約1時間。クラブハウスは広く豪華で、シャワー完備の男性ロッカー(女性ロッカーはない)や、食堂にバーもある。プレー代はキャディフィ、レンタルクラブ込みで100ユーロ(当時のレートで約1万1500円)。貸しクラブは独アディダス傘下のテーラーメイド製で、キャディには別にチップ10ユーロを支払ったという。

コースは全長6200m(6780yd)のパー72。ドッグレッグが多く、狭いフェアウェイの両脇には、そこへ打ち込んだら球を見つけることすら難しいブッシュが生い茂る。グリーンコンディションは良好だが、とても重かった(遅かった)という。ハンディキャップ14のマキネン氏は「98」というスコアでラウンドした。彼に言わせると、金正日氏の「34」というスコアは「少なくともこのコースでは不可能だと思う」とのことだった。

それでも、総じて「まともなゴルフ場だった」というのがマキネン氏の評価だ。若く可愛いキャディたちは、プロフェッショナルとは言えないものの良い仕事をしていたし、サービスの質も笑顔でのホスピタリティも好印象だったという。

この日のラウンド中、コースで遭遇した他のゴルファーは外国人2人だけ。また、平壌から遠く離れた土地にほかに2つのゴルフ場があるという話を聞いたが、真偽は確かめられなかったという。(編集部・今岡涼太)

(※)フィンランドは1973年、北朝鮮との外交関係を樹立している。日本と北朝鮮との間に国交はない

今岡涼太(いまおかりょうた)
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka