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天国の母と共に戦うマーティン・カイマー

圧倒的な強さを見せつけて勝利した26歳の 圧倒的な強さを見せつけて勝利した26歳のドイツ人、マーティン・カイマー。世界一位の座も遠くは無い!(Ross Kinnaird/Getty Images)

UAEのアブダビで開催された欧州男子ツアー「アブダビHSBCゴルフ選手権」で、マーティン・カイマー(ドイツ)が圧勝劇で大会連覇を達成した。

2位のロリー・マキロイ(北アイルランド)に大会史上最大差となる8打差をつけ、2年連続3勝目をマークしたカイマー。「このコースはぼくにとって完璧に合っている。フェアウェイもキープできたし、パットの調子もすごく良かった。今週はすべてがうまくいったよ」。通算9勝目を挙げたのは、自身が出場した欧州ツアーでちょうど100試合目という節目のゲームだった。

2008年の同大会で欧州ツアー初優勝を挙げた思い出のコースは現在、カイマーの独壇場となっている。ここ4年間は優勝、2位、優勝、優勝という戦績。16ラウンドで通算80アンダーという驚異の数字。レティーフ・グーセン(南アフリカ)は「彼はぼくらを殺す気か。ここで20アンダー以上出す選手なんか見たことがない」。パドレイグ・ハリントン(アイルランド)は「リードしている状況にあれば、おそらく彼は世界で一番強い選手だろう」と評した。イアン・ポールターも試合後のツイッターで「ウェストウッドと話したんだけど、彼だけ違うコースを回っていたみたいだ」とライバルたちも、ただただ驚くばかりのようだ。

26歳25日の若さで同一大会3勝を挙げたのは、欧州ツアー史上3番目の年少記録。1978年、1980年、1981年「PGA選手権」を制したニック・ファルド(23歳311日)、「WGC NEC招待選手権(現在のブリヂストン招待選手権)」を1999~2001年に3連覇したタイガー・ウッズ(25歳239日)に次ぐ記録となる。

昨年の全米プロでメジャー初優勝を飾り、一気にスターダムへと上り詰めたカイマーは、ドイツ・デュッセルドルフで育った。自宅近くにゴルフ場があり、2歳年上の兄フィリップと時には自転車を走らせてコースへ向かったという。

2003年に「オーストリア・アマチュア選手権」、翌年「ドイツアマチュア選手権」で勝つなどアマ時代から将来を嘱望されていた彼は、2005年にプロ転向後、下部ツアーのEPDツアー、チャレンジツアーで頭角を現す。2006年のEPDツアー「ハプスブルグ クラシック」では「59」をマークするなど、その才能はすぐに注目の的に。2007年にいよいよ欧州男子ツアーに参戦すると、初年度は優勝こそなかったが、賞金ランク41位に入りドイツ人として初めてルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得、ワールドカップにも出場した。

順風満帆のプロゴルファー人生を送っているように見えるカイマーだが、そのハートの奥底には深い傷がある。2006年夏。母・リナさんが病に倒れ入院した。癌だった。

母が懸命の闘病生活を続ける一方で、カイマーは2008年、その名を欧州全土に広める。「アブダビ-」で初優勝を飾ると、母国ドイツ・ミュンヘンで開催される「BMWインターナショナル・オープン」で2勝目をマーク。同大会初のドイツ人王者は、病状が既に末期だった母に向け「ぼくは自分のためだけでなく、母のために戦う。この勝利を母に捧げたい」と涙を流した。トロフィーを病床の母にプレゼントした2週間後、リナさんは他界した。

その後のカイマーは2009年に2勝。昨年の全米プロを制し、ドイツ人ではベルンハルト・ランガー以来のメジャーチャンピオンに。そして今週、自身が「世界一の選手」と考えるタイガー・ウッズを抜き去り世界ランキング2位に躍り出た。「できれば少しの間、ここ(2位)にいたいな」。熱い思いを胸に秘めた26歳の覚醒は、まだ始まったばかりだ。


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