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2016年ヨーロピアンツアーで学んだ10のコト(前編)

1. ウィレットはメジャー級の選手

肝心なのは始め方ではなく終わり方。とにかくダニー・ウィレットに訊いてみることだ。ヨークシャー出身の彼は、2016年の「マスターズ」を下馬評にも上がらない存在として迎えつつ、グリーンジャケットを持ち帰ることに成功した。結果論で言えば、ウィレットによるグリーンジャケット獲得の運命を示唆する“予兆”はあったと言えるかもしれないが、王者としての考え方が最後の一線を超えさせたのは明らかである。

29歳のウィレットの妻、ニコールさんが予定日よりも1週間早く、彼らの第一子を出産したことで、ウィレットは2度目となるオーガスタへの旅路へつくことができた。運命で決められていたことであったとしても、ウィレットは優勝へ向け最高のゴルフをする必要があったわけである。日曜にその瞬間が訪れたとき、彼はすでにノーボギーの「67」でラウンドし、準備万端で栄光を待ち受けていた。上がり6ホールで3つのバーディを奪ったことが勝利を、そしてヨーロピアンツアーのフォロワーが長きにわたり待ちわびた瞬間を決定付け、ウィレットのゴルフを最高の舞台へと押し上げたのである。

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2. アイスマンが堂々と任務遂行

25バーディ、1イーグル、110パット、そして歴史に残る「全英オープン」の日曜日を経て、ヘンリック・ステンソンは、最早メジャーで優勝したことのない最高の選手ではなくなった。ロイヤルトゥルーンGCがスウェーデンのステンソンとメジャー5勝のフィル・ミケルソンによる生気に満ちた決闘の舞台を提供するなか、その対決を制したステンソンが堂々と任務を遂行したのである。

2013年の「全英オープン」王者は経験をフル活用してクラレットジャグを奪い取りにいったが、ステンソンは“アイスマン”というニックネーム通り、クールにフィールドを引き離すことに成功した。72ホールのトータル「264」はメジャー史上最小スコアであり、最終日の「63」もメジャー記録に並ぶ1ラウンドにおける最少スコアだった。ステンソンによる傑出したパフォーマンスは、彼がフィールドの平均スコアを28.6 ストロークも上回っていたという事実がその凄さを裏打ちしており、疑いようもなく、ステンソンは単に任務を遂行するだけなく、誰をも納得させる見事なカタチで任務をやってのけた男なのである。

3. 極東からの刺客たち

2016年のヨーロピアンツアーは、アジアで最もホットな若き才能が、その登場を高らかに宣言した1年でもあった。イ・スミン、リー・ハオトン、そしてワン・ジョンフンが4週連続で優勝し、ヨーロピアンツアー史上初となるアジア勢による4大会連続でのトロフィー独占が実現したのである。

イは悪天候に見舞われた「深センインターナショナル」で経験豊富なユースト・ラウテンを2打差で退けて優勝。ツアーはその後も中国に留まり、バトンはリー・ハオトンへと渡され、こちらも経験のあるリチャード・ブランドフェリペ・アギラーを下して優勝。そして、この4週間で出色のパフォーマンスを披露したワンは、すばらしいパッティングを武器に、モロッコでプレーオフの末、ナチョ・エルビラを下すと、翌週のモーリシャスでも優勝を遂げ、2014年のロリー・マキロイ以来となる、ヨーロピアンツアーでの2週連続優勝を果たしたのである。

4. 台頭する次世代のスターたち

ゴルフ界の将来が安泰であるかどうかを確認する上で、水晶玉は必要ない。イングランドのマシュー・フィッツパトリックは、弱冠21歳ながら、ヘンリック・ステンソンニコラス・コルサーツを退け、3打差で「ノルデアマスターズ」を制し、ダレン・クラーク率いる「ライダーカップ」欧州代表チーム入りを果たした。彼はさらに圧巻のパフォーマンスでシーズン最終戦の「DPワールドツアー選手権 ドバイ」を制し、ヨーロピアンツアー3勝目を手にした。

フィッツパトリックとともに台頭する若手の旗手を務めるのは、同胞のティレル・ハットンだ。彼は2016年シーズンに3,690,027ユーロを稼ぎ出し、「レース・トゥ・ドバイ」を見事4位で終えている。「全英オープン」、そして「全米プロゴルフ選手権」と、メジャーで2戦連続してトップ10入りを果たす瞠目のパフォーマンスを披露したハットンは、セントアンドリュースのコースレコードに並ぶ「62」をマークした「アルフレッド・ダンヒルリンクス選手権」を制した。ベルギーのトーマス・ピータースもすばらしい1年を謳歌した若手選手の一人であり、「メイド・イン・デンマーク」を制してヨーロピアンツアー3勝目を果たしたピータースは、デビューを飾った「ライダーカップ」では印象深い見事なプレーでチームにポイントをもたらした。間違いなく、若手は育っている。

5. ホームに敵うものなし

2016年の地元ヒーローによる大会制覇の流れは、シャール・シュワルツェルによるここ4年で3度目の「アルフレッド・ダンヒル選手権」の制覇で始まった。そのわずか1週間後、今度はインド洋の反対側で3人によるプレーオフを制した地元豪州のネイサン・ホルマンが「オーストラリアPGA選手権」を制覇し、ヨーロピアンツアー初優勝を遂げた。その後、これまた若手注目株のブランドン・ストーンヘイドン・ポルテウスが2週連続となる南アフリカでの地元勢による優勝を果たした。特にストーンは、2016年にナショナルオープンを制した6人の地元選手の先鋒となった。

SSP.チャウラシアは、引き続きインドでの無類の強さを発揮し、「ヒーローインディアンオープン」を制して、いずれもインドで挙げたヨーロピアンツアー3勝目を飾った。4月下旬の「ボルボ中国オープン」では、ルーキーらしからぬ強さを見せたリー・ハオトンが地元優勝を飾ると、Kクラブでは圧巻のパフォーマンスを繰り広げたロリー・マキロイがアイルランドでの特別な初勝利を挙げた。その翌週は、クリス・ウッドがウェントワースで未来の「ライダーカップ」のチームメイトたちを退けて「BWM PGA選手権」を制覇し、9月中旬にはユースト・ラウテンフランチェスコ・モリナリが、2週連続となる地元選手によるナショナルオープン制覇を果たし、ホームゲームの優位性を改めて証明した。

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