昨年の大会はアン・ビョンフンが制した(David Cannon/Getty Images)

あれは“ベン”の名で広く知られる男にとってのヨーロピアンツアー初優勝だった。しかし「BMW PGA選手権」の歴史において最大観客動員数を記録したギャラリーの前で見せた、早咲きながら成熟したプレー振りを振り返ると、あれが彼にとって最後の優勝とならないのは確かなところだ。

大会記録と言えば、アンの通算21アンダーも大会記録であり、1週間を通して全体で5つのホールインワンが出たのも新記録であった。なかでも、10番でホールインワンを達成したアンドリュー・ジョンストン、そして14番でホールインワンを達したクリス・ウッドは、ピカピカのBMWに乗ってウェントワースを後にしたのである。

＜＜　下に続く　＞＞

一口サイズの大会史

1955年に始まり、ヨーロピアンツアーのスケジュールにはツアー発足の1972年から組み込まれている「BMW PGA選手権」は、豊かで、物語性のある歴史を自慢とする大会だ。ゴルフイベントのなかで最も名誉ある大会のひとつとして広く認知され、1984年以来一貫してウェントワースのウェストコースで開催されており、これまでその時のゴルフ界でトップを行く選手を含む多くの王者を生み出して来た。

“サー”ニック・ファルド、セベ・バレステロス、ベルンハルト・ランガー、ホセ・マリア・オラサバル、コリン・モンゴメリー、そしてロリー・マキロイはみな、ウェストコースを征服した経験を持っており、なかでも、モンゴメリーは、2000年大会を優勝したことにより前人未到の大会3連覇の偉業を達成している。

2015年「BMW PGA選手権」のベストショット7選

5つのホールインワン（トレバー・フィッシャーJr.、ジョンストン、ミゲル・アンヘル・ヒメネス、ウッド、そしてクレイグ・リーが達成）。トミー・フリートウッドのアルバトロス（土曜日の2番ホール）。アン・ビョンフンのアルバトロスを決め損なったショット（最終日の12番ホール）

2016年のフィールド

今週のフィールドでヘッドラインを飾るのは「マスターズ」王者のダニー・ウィレットである。ウィレットの他にも、フィールドには、ダレン・クラーク、マルティン・カイマー、ポール・ローリー、グレーム・マクドウェル、そしてY.E.ヤンと計6人のメジャー優勝経験者が名を連ねており、今季の「レース・トゥ・ドバイ」でトップ50圏内につけている選手のうち41人が出場する見込みとなっている。

これには、ディフェンディングチャンピオンのアン・ビョンフン、目下好調のラファ・カブレラベロー、そしてカブレラベローと同じく「ライダーカップ」欧州代表の有力候補であるラッセル・ノックス、アンディ・サリバン、シェーン・ローリー、ソレン・ケルドセン、マシュー・フィッツパトリック、ベルント・ヴィースベルガー、そしてリー・ウェストウッドらも含まれる。

コース

ハリー・コルト設計で1926年に開場したウェントワースは、近年、一時期ウェントワースエステートに住んでいたことのあるアニー・エルスにより幾度か改修が行われた。エルスによるコース改修は2006年を皮切りに、2009年から2010年にかけては全グリーンが完全に改修された。全長7302ヤードで、ほぼ全てのフェアウェイの両脇に木立の並ぶコースは、ティショットの飛距離と精度の両方を要求するレイアウトとなっている。