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HOT LIST JAPAN受賞クラブ 開発者インタビュー Vol.8(ブリヂストン編)

HOT LIST 日本版」で高評価を得たクラブは、どのように開発されたものなのか。開発担当者や企画担当者へのインタビューから、メーカー側の視点を探っていく。第8回目は、日本のゴルフ市場を牽引し続けているブリヂストン。メダルを受賞したツアーステージの商品について話を訊いた。

【2012 HOT LIST JAPAN 受賞クラブ】
フェアウェイウッド部門:ゴールド賞(ツアーステージ X-FW タイプT)
ユーティリティ部門:ゴールド賞(ツアーステージ GR)
ドライバー部門:シルバー賞(ツアーステージ GR)

【担当者 プロフィール】
西谷将史(にしたにまさふみ)
1993年ブリヂストンスポーツに入社後、ゴルフクラブ開発部に。2005年から海外商品の担当を務め、2007年からはクラブ企画部に所属。現在はXドライブやGRシリーズを担当している。

ゴルファーの潜在能力を活かすため、細部までこだわる

GDO:ツアーステージのクラブは、アスリートから根強い人気を誇っていますよね。まずはメダルを受賞したGRシリーズの2つのクラブについて、開発意図をお伺いできますでしょうか。

西谷:GRシリーズは2年周期で新モデルをリリースしているのですが、2010年モデルから大きく路線変更したブランドです。ゴルファーにとってツアーステージは難しいというイメージがあったので、Xドライブというブランドに対して、GRは見た目が本格的ながらも、もっと扱いやすいクラブにしようというのが開発のコンセプトでした。価格面でもXドライブに比べてお求めやすく設定してあります。おかげさまで2010年モデルは非常に評判が良かったのですが、逆に2012年モデルではどのように進化させるのか、そこに頭を悩ませました。

GDO:HOT LISTのテスターたちは、球が上がりやすく、つかまえやすく、やさしく打てるところを高く評価したようです。具体的には、2010年モデルからどのような進化を遂げているのでしょうか。

西谷:ドライバーに関して言うと、2010年モデルで高く評価されていたのは、やさしく打てるうえに構えやすいヘッド形状でした。ですから、できるだけ見た目の印象は変えないように配慮しつつ、新モデルでもヒール側に少し膨らみを持たせて、より構えたときに安心感が得られるようにアレンジしました。それに加えて、芯を外しても初速が落ちないように設計面でも工夫を凝らし、重心位置は前作よりも少し深くなっています。シャフトについても若干アレンジを加えています。2010年モデルは走り系で一発の飛びをもたらすタイプでしたが、新モデルは手元を少し柔らかくしたマイルドな振り心地です。操作性よりも直進性を重視するコンセプトは変えていませんが、打ち比べると違いがよく分かると思います。

GDO:今回ゴールド賞を獲得したGRのユーティリティは、特にテスターからの評価が高かったモデルです。カテゴリーのトップに選ばれ、編集部イチオシにも選ばれています。女子プロにも使用している選手が多いようですね。

西谷:GRシリーズのなかで、もっとも評価が高いのはこのユーティリティかも知れません。もともと機能的には前モデルから完成度が高かったので、新モデルでは構えやすさを向上させるように開発しました。フェースがまっすぐに見えるように、ヘッド形状はもちろん、塗装のマスキングにも工夫を凝らし、開発時には細部を何度も修正しました。そのおかげで、フェース全体でボールを乗せるような感覚が得られるクラブに仕上がっています。池田勇太プロはこのモデルのロフト17度を使っていますが、少ないロフトでもフェース面がまっすぐ見えるので、プロや上級者にも狙いやすいクラブになっています。

GDO:Xドライブのシリーズでメダルを獲得したのは、チタン製のフェアウェイウッドでした。このモデルは、チタンが使われているのが大きな特徴ですよね。どういった理由でスチールではなくチタンを採用したのでしょうか。

西谷:このフェアウェイウッドは、ぶっ飛び系のモデルを作ろうと意図して開発したモデルです。チタンは比重が軽くてヘッドを大きくできるメリットがあり、これまではアベレージゴルファー向けのやさしいフェアウェイウッドに採用していましたが、今回はプロが使えるギリギリの大きさのヘッドサイズにしつつ、チタンの長所を別の方法で活かそうと考えたのです。その結果、ヘッド重量の3分の1をソールに配置して、スチール素材では成し得ない低重心設計のヘッドが完成しました。強弾道、低スピンが打ちやすく、最初に試打したプロからは「どこまで飛ぶんだ!」との評価もいただきました(笑)。ある意味、性能的には尖ったモデルですが、開発の意図は達成できたモデルですね。

GDO:Xドライブのドライバーには、新たに調整機能が搭載されましたよね。今回のHOT LISTではメダルを受賞できませんでしたが、こちらも開発には苦労があったのではないでしょうか。

西谷:そうですね。もっとも開発に苦労したのがドライバーでした。Xドライブのクラブに本当に調整機能が必要なのか、社内でもそういった議論はあったのですが、アスリート向けのシリーズだからこそ、フェースアングルなどの見た目を微妙に調整できる機能が必要だと考えて採用に踏み切りました。ゴルファーの潜在能力を引き出すための新たな機能だとも言えます。

GDO:調整機能が搭載されているのに、ネックがスマートなところにはテスターからの評価は高かったようです。

西谷: Xドライブらしいヘッドの見た目の良さと構えやすさには、かなりこだわりました。ドライバー開発の苦労話は他にもたくさんあるので、今回メダルを獲れなかったのは残念ですね。来年の「HOT LIST JAPAN」でゴールドメダルを獲ったときには、そのお話をしたいと思います(笑)



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